外壁リフォームについて、費用と工期・外壁劣化によるトラブル・外壁リフォームのサイン・3つの方法・外壁材の種類・施工例などをまとめてご紹介します。
1 . 外壁の劣化が引き起こすトラブル
まずは外壁の劣化が引き起こすトラブルを、劣化の進行順にみてみましょう。
[ ダメージ★☆☆☆☆ ] 防水効果が消失⇒外壁に水がたまる・歪む
家は常に紫外線や雨にさらされています。
蓄積したダメージにより外壁塗装がだんだん劣化して、防水効果がなくなってしまうのです。そうなると外壁に水がたまったり、湿った外壁が乾燥するときに歪んだりすることがあります。
[ ダメージ★★☆☆☆ ] 小さなひび割れが発生⇒水が浸入
外壁に防水効果がなくなってくると、膨張や収縮に塗膜が対応できなくなり、壁に小さなひび割れ(ヘアクラック)ができてきます。
外壁材がサイディングの場合はコーキング(外壁材の間を埋めるゴム状のパッキン)にも亀裂が現れます。ヘアクラックができるとそこから水が浸入してしまうのです。
[ ダメージ★★★☆☆ ] 小さな亀裂が悪化して建物に大ダメージ
外壁にできた小さなひび割れや亀裂を放置すると、どんどん大きくなって劣化が進みます。
見た目に悪いのはもちろんですが、大きな亀裂になると建物本体にもかなりのダメージを与える恐れがあるので気を付けましょう
[ ダメージ★★★★☆ ] 防水シートや防水材が浸水⇒内側にも浸水
亀裂によって建物に水が浸入した状態を放置すると、やがて外壁や屋根の内側にも水が浸入するようになります。
外壁や屋根の内側には防水シートがありますが、防水シートも外壁とともに経年劣化していています。そのため水が浸入して建物の骨組みである木材・鉄骨・コンクリートなども劣化させてしまうのです。
[ ダメージ★★★★★ ] 家の土台や基礎部分まで劣化⇒もろい建物に
小さなひび割れが大きな亀裂になり建物内部に浸水、やがて骨組み・そして建物の基礎まで劣化してしまいます。
建物自体がかなりもろくなり、ちょっとした自然災害でも損壊する恐れがでてきます。非常に危険な状態です。
2 . 外壁リフォームのタイミング
一般的に外壁リフォームは"10年ごとに行うべき"と言われています。
新築あるいは前回の外壁リフォームから10年たっている場合は外壁のチェックをしましょう。
ただし、使われている素材・環境・状況などさまざまな要因でメンテナンスの適正な期間は変化します。どのような素材が・どのような環境で使われて・今どのような状態なのかを確認することが大切です。
タイミングを判断する6つのサイン
外壁劣化の一番最初のサインはツヤが無くなってくることです。
さらに以下のような劣化の兆候がみえてきたら外壁リフォームの検討をおすすめします。
3 . 外壁リフォームの3つの方法
[ 方法① ] 塗り替え
外壁の塗り替えは最も手軽な方法です。モルタルやサイディングの外壁が劣化が進行し、防水性が切れてしまった場合にオススメしています。
費用は塗料のグレードにさまざまですが、一般的には高価な塗料ほど耐久性が高く長持ちします。耐久性の高い塗料を選ぶことで次回の塗り替えまでの期間を延ばすこともできるので、長い目で見て比較してみることも大切です。
紫外線対策の塗料や、熱を遮断する遮熱の機能、汚れを雨水で流してくれるセルフクリーニング機能などを有している塗料もあります。
[ 方法② ] 張り替え
外壁材を取り払って骨組みだけの状態にし、新たに下地と外壁材を取り付ける施工方法です。
廃材の処理や下地の工事が必要なので費用は高くなりますが、下地から新しくするので、筋交いを追加するなど建物本体の耐久性を向上させることも可能です。
[ 方法③ ] 重ね張り
既に設置されているサイディングを取り外さずに、上から新しいサイディングを張る方法です。新たに張る外壁材は、下地に負担をかけないためにも軽量のものをオススメしています。
4 . 外壁素材の7つの種類とメリット・デメリット
窯業系サイディング
セメントや繊維質などを原料にした板状の外壁材です。現在最も主流な外壁材とされ、70%~80%のシェアを誇ります。
■メリット■
デザインが豊富/価格が安い/工場で成形されているため工期が短い/耐火性が高い
■デメリット■
素材自体には防水性がなく、塗膜がはがれると防水性が落ちる/寿命が短くメンテナンス頻度が高い/継ぎ目のシーリング材の経年劣化
■費用相場■ \3,500~5,000/㎡
金属系サイディング
金属板を成形・加工して柄付けし断熱材で裏打ちした外壁材です。
■メリット■
軽量で耐震性が高い/冷害が起こりにくい/デザイン性に優れている
■デメリット■
石柄、木目柄、レンガ柄などがあるが再現性は低い
■費用相場■ \4,000~6,000/㎡
樹脂系サイデイング
塩化ビニル樹脂を使用したサイディングです。窯業系サイディングの1/10の重量と非常に軽量な素材になっています。
■メリット■
耐久性が高い/再塗装不要/ひび割れしにくい
■デメリット■
耐火性が低い/カラーバリエーションが少ない
木質系サイディング
木材を使用したサイディングで、木のぬくもりを感じられるあたたかな素材です。不燃処理によって防火性・耐火性・耐久性を兼ね備えたものも増えています。
■メリット■
木の味わい深さ/高い断熱性
■デメリット■
メンテナンスコストがかかる/水に弱く、腐食や変色の可能性がある
モルタル
砂とセメントと水を混ぜ合わせ、現場で職人が塗りあげる外壁材です。色の種類が豊富で、味わい深い表情に仕上げることができます。
■メリット■
十分な防火性/素材感のある仕上がり/デザインの自由度が高い
■デメリット■
地震などでヒビ割れが起こりやすい/汚れやすい
■費用相場■ \1,500~4,000/㎡
タイル
粘土を主とした原料を板状に焼き固めた素材です。立体感や風合いがあり、高級感のある印象に仕上げることができます。
■メリット■
重厚な存在感/高いメンテナンス性/高い耐久性
■デメリット■
値段が比較的高価/コーキングの経年劣化
■費用相場■ \7,000~9,000/㎡
ALC(エーエルシー)
ALCとはautoclaved lightweight aerated concreteの略で、内部に無数の気泡を含ませた軽量のコンクリート素材です。
■メリット■
水に浮くほどの軽さ/耐久性が高い/断熱性が高い
■デメリット■
吸水性が高く寒暖差でヒビが入る可能性がある
■費用相場■ \7,000~15,000/㎡
外壁材選びの+1ポイント
【最も耐久性の高い素材は?】耐久性を重視される方には、高耐久の素材である金属系サイディング「ガルバリウムサイディング」をオススメしています。LIXILのダンサイディングが業界最長15年保証です。
【金属系サイディング+タイルでバランスよく】金属系サイディングはタイル模様などの種類がありますが再現性はあまり高くありません。玄関ポーチ周辺だけでも本物のタイルにすることで、素材感・高級感を演出することが出来ます。
【寒冷地の素材選び】窯業系サイディングは寒冷地に向いていないものが多く、数年後に再塗装が必要になります。耐久性を考えるなら金属サイディングを張った方が良いでしょう。外壁がモルタルの場合は凍害になりにくいので塗装仕上げでも大丈夫な場合があります。
【遮熱効果のある塗料】遮熱効果のある塗料(ガイナ)については、断熱性の高い住宅に塗装しても体感することは難しいと言われています。
5 . 外壁リフォームの工期と費用
リフォームのなかでも外壁工事の費用は比較的高額なことで知られています。
内訳としては材料費・足場代・人件費・諸経費などです。
できればやりたくないと思われている方も多いですが、「1.外壁の劣化が引き起こすトラブル」でお伝えしたように、外壁の劣化を放置してしまうと建物にもさまざまな悪影響が生じてきます。先延ばしにすることで建物の傷みが進んでさらに高額な工事が必要になることも…。長期的な目線で外壁リフォームを検討してみましょう。
外壁補修
簡単な外壁補修(ひび割れ補修、剥離補修、コーキング補修など)の場合、費用相場は20~80万円となっています。
塗り替え(塗装)
塗り替えの場合、費用相場は80~150万円となっていますが、ウレタン・シリコン・フッ素など、塗料のグレードによって価格はさまざまです。
一般的には高価な塗料ほど耐久性が高く次回の塗り替えまでの期間を延ばすこともできるので、長い目で見て比較してみてください。
工期は10~20日程度です。
張り替え
張り替えの費用相場は150~300万円となっています。外壁材はサイディングがほとんどです。
廃材の処理や下地の工事が必要なので費用は高くなりますが、筋交いを追加するなど建物本体の耐久性を向上させることも可能です。
工期は14~25日程度です。
重ね張り
既存の外壁材の上から新しい外壁材を重ね張りします。費用相場は130~200万円です。
既存の外壁材の撤去作業が必要ない分、費用が抑えられ、工期も短縮できることから、人気が高まっていいます。
工期は8~15日程度です。
6 . 人気の外壁材をご紹介
danサイディング ( 旭トステム )
旭トステムが展開する金属系サイディングの外壁材です。
金属系サイディングの耐震性・断熱性に加えて、先進の塗装技術を使用した耐久性の高さ・デザイン性の高さが特徴です。木目調・大理石調・レンガ調など豊富なラインナップからお選びいただけます。
塗膜の変色褪色15年の長期保証があるところも魅力です。
ジョリパット ( アイカ工業 )
耐久性や防カビ・防藻性・防火性などに優れたアクリル系の塗装剤です。180以上のカラーと100以上のデザインに加え、コテや吹付け・ローラーなど多彩な表現が出来ることから、自由度の高い意匠性が人気です。
7 . ユニテの外壁リフォーム事例
高岡市O様邸
築14年のO邸。新築当時は窯業系サイディングの白色でしたが雨だれが目立ち凍害も発生して来たため、ガルバリウム鋼板のスパンドレルで外壁をリフォーム。こちらのお宅は相当外壁の凍害が進んでいたため、カバー構法ではなく外壁を全て解体し、ガルバリウム鋼板のスパンドレルを施工しました。
■工期:約3か月(その他外構/内装工事を含む)
■費用:157万円(破風/軒天等の塗装を含まず)
富山市O様邸
築24年のO邸。汚れが目立ち剥離してきた外壁を、窯業系のサイディングから金属系のいわゆるガルバリウム鋼板の外壁にリフォームしました。外壁は1階と2階の2トーンに分け、玄関の上にあった飾りの空気孔は取り外し、アイアンの装飾を施しています。
■工期:6か月半(その他大規模改修工事を含む)
■費用:211万円(施工費含む)